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ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

他の子音+r

 つい先日、「記憶のチカラ」というテレビ番組を見た。記憶力に年齢は関係ない!という触れ込みだったので、最近深刻に物忘れの激しいワタクシとしては、ワクワクしながら見たのだが、ちょっと肩すかし。記憶力に年齢は関係ない、という話は、世界的な記憶力のコンテストで上位入賞した人たちは10代から50代まで幅広くいるし、10位以内にも40代が多いということが根拠だったのだが、その記憶力コンテストとは、ランダムにシャッフルしたトランプの並び順を覚えるとか、ランダムな数字を覚えるとかいうもの。そういうものが、「鍛えれば」ある程度の年齢がいっても衰えないというのは分かる気がする。というか、そういうコンテストに挑戦する人たちは日夜、暇さえあればトランプの順番を覚える訓練をしているわけである。「だから何?」と私は思ってしまった。

 が、しかし、たしかに「鍛えれば」年齢が多少いっていても記憶力はアップするのである。そしてもちろん「運動能力」も。だからトレーニングが必要なのだ。
 だがこの番組を見ていてもっと印象が強かったのは、たとえば「外出するとき、家を出てしばらくしてから『鍵かけたっけ?』と思い出せないのはなぜか」という命題に対する答えである。ドアを締めて鍵をかけるような動作は、もはやノーミソ(いわゆる考える脳=大脳皮質)はほとんど関知せず、身体が覚え込んだ動作を無意識にやっている。だから逆に、あとで思い出そうとしてもノーミソを経由していないので記憶がない、というのである。そして、「考える」という活動はものすごく酸素を消費する重労働だとも言っていた。だから、ノーミソはできるだけそういう活動を節約するように、無意識にできるような行動にはタッチせず酸素消費もおさえ、その分を他のことにを考えることに使うというのである。
私もライブでブラジルの歌を歌っているが、慣れないポルトガル語の歌詞とはいえ眠りながらでも歌えるくらい、身体にたたき込む。ほとんど無意識に歌詞が口から出て来るくらいになっているのだ。が、しかし! 歌っているときに「あれ、次の歌詞はなんだっけか?」とついノーミソに活動させてしまうと、とたんに分からなくなってしまう。逆に、まだ歌詞をしっかり身体が覚えていないものだと、普通にしているときは歌えているのに、ライブで人前に立って他のいろいろなことに気を遣っていると、まったく思い出せなくなる。頭を使う、ってことは、ほんと、重労働なのだ。

だから。
私はとにかく、英会話も、「口に覚えさせよ」と言いたいのである。基本の文型とかフレーズとかを、ノーミソを経由せずに言えてしまうぐらいに身体にたたき込め!と。そうでないと、他のことを考える余裕などなくなってしまう。いつまでもいつまでも基本の文型などをいちいち考えていたのでは絶対にしゃべれない。
そして、身体が無意識に覚える、ためには、正しいリズムが必要になる。たどたどしくしか言えないものは決して覚えられない。そして、そのリズムを作る大もとは、個々の発音である。
発音のいちいちが完璧である必要はない。だが、リズムを崩すのはNGである。
リズムについては後で本格的に話したいと思うが、「いちいち母音がはさまらない」ということこそ、英語のリズムの根本なので、それだけは忘れないようにしてもらいたいのである。

さて、前置きはこのくらいにして、前項に引き続き、その他の「子音の直後に(母音を挟まずに)R音が来る場合」を見ていこう。

★BR-及び PR- 

BとPの音は、上下の唇を合わせた状態から、息を「破裂させる」音。爪楊枝を唇ではさんでくわえ、それを息で飛ばすようなイメージ。息の音だけの無声音ならP、声が乗るとBとなる。それ自体はけっこう強めの音なので聞き取りにくいことはないだろうが、その分、あとにつながるRの音の存在感はなくなりやすい。なんども説明しているように、R音は下を思い切り口の奥の方にそらせるように引いて出すから、PやBを発音するために行きおいよく出した息がさえぎられるような感じになるのである。
カタカナで書けばプロフェッショナルとなるであろうprofessionalも、「ポーフェッショナウ」のように聞こえる。pressureも「プレッシャー」より「ペッシャー」という感じだ。breakfastは「ベックファスト」 brownなら「バオン」に近く聞こえる。

あえてカタカナ語として日本語的に使うことが多い語を例に出しているのにはもちろん意図がある。正体を見れば、自分の知っているはずの単語なのに聞き取れないときのショックは大きい。あえてそのショックを味わってもらおうとこうやって列記しているのである。 とはいっても再度いうが、音声教材がここにはないのでピンと来にくいかもしれない(そのうち音声教材も作るかもしれない)。前回も書いたように、音声材料のついている教材を使って、焦点をあてたい綴りをまず探して印を付け、実際の発音をじっくり聞いてみてもらいたい。
ショック云々はおいておいても、カタカナ語を知っているだけに、それにつられてしまって正しい発音が分からなくなる。カタカナ語はむしろ英語学習には弊害があるとさえ言えるかもしれない。かといって、ひところ妙に流行った帰国子女のキャスターなどが、英単語を英語の発音で交ぜた日本語をしゃべるのもヒッジョーに嫌みで感じ悪いが。 まあ、カタカナ語は少なくとも発音に関しては英語ではなく日本語である、と開き直って区別して考えた方がいいということだ。


★CR- 及び GR-

この場合綴り字のCR-は発音記号では[kr-]となるので、正確にはK+Rというべきところである。KとGは、喉で息を詰まらせるような「クッ」という音。K(C)は無声音、Gは有声音である。喉でその音を出し、R音でも喉の奥の方に舌が来ているので、全体として口の中の奥の方で発せられる音となる。だから認識しにくい。
crossword puzzleの「クロスワード」が「コスワー~」と聞こえる。creativeクリエイティブも「クエィティヴ」に近い。ground「グラウンド」も「ガウン」であり、group「グループ」も「グープ」である。

★FR-

下唇と上の歯を摩擦して出すFにつづくRは、上記のBR-などと同様、強いFの音ばかりが聞こえるだろう。ちなみにFの有声音ヴァージョンのV+Rは英単語にはあまり使われていないようだ(フランス語にはあるようだが)。そのフランスFranceも「フォンス」と聞こえてしまう。フロントfrontも「フォント」と聞こえて、フラストレーションfrustlation「フゥストレーション」がたまりそう。

★THR-
意外なことに、SR-で始まる英単語というのはない。それでは、スリルとか、ドライブスルーのスルーとかは?球技にあるスローインとかフリースローとかは?
それらはみんな、THR-で始まっているのである。日本語にないのでスと書いてしまうが、以前に解説した、舌と上下の歯の間で摩擦して出す音なのでSとは違うのである。
スリルはthrill でありthrillerなら映画などの「スリラー」だ。スローイン・フリースローのスローはthrow(投げるという意味)であり、ドライブスルーのスルーはthroughというややこしい綴りで、「通って、通り過ぎて」という意味を持っている。そうそう、数字の3も、ワン、ツー、スリーと書くが、やはり本来はthreeなのである。
この発音がかなりしんどい。しつこくいうが、日本語に存在せず日本人に聞き取れない音どうしの繋がりである。いきなり聞いても正体不明になることが多い。しっかり意識して、上下の歯の間に舌を突き出すようにしてすきまから音を出し、それから一気に舌を後ろに引く。舌の前後の動きは最大になると言っていい。こんな動きは日本語にはありえない。理解できない動きから生み出された音が聞いても理解できないのはアタリマエである。この音はかなりトレーニングが必要だと思う。だが根気よく、舌の動きの基本をおろそかにしないように、それどころか前号でも述べたようにむしろ大げさにするくらいに意識してゆっくり練習するべし!



次はさらに難易度UP?子音が3つ繋がっているものを見ていこう。その代表格が、Sで始まる繋がりである。話の流れ上、Sのあとに今まで述べてきた、<子音+R>が繋がる場合をまず取り上げる。なおSが無声音のため、DやGなど有声音の子音がSの次にくることはない。

★STR-    

ストレートstraight、ストロングstrong、ストリートstreet、ストライプstripe、などなど、これで始まる単語がカタカナ語化しているものは多い。しかし以前にも述べたように、ストロングならsutorongと発音され、strongとはかなり違って聞こえる。SもTも無声音で、すなわち息の音だけだし、Rは認識しにくいとくれば、STR-と揃い踏みされた日にはたまったものではない。 たまったものではないが、頻出するからには征服せねばならぬ。母音を入れないように注意して、「声」ではなく息の「音」であることを意識して練習して欲しい。

★SPR- 

スプレーspray、スプリングspringなど。数はそんなに多くないかもしれない。

★SCR- 
スクリーンscreen、 スクランブルエッグscrambled egg、スクロールscrollなど。

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